ふがいない僕は空を見た / 窪美澄

ふがいない僕は空を見た

窪 美澄 / 新潮社



本屋大賞のノミネートで知った本作。本屋大賞自体が最近"あれ"なので「どうしようかな?」という感じだったのですが、読んで正解でした。

とある高校生斉藤くんがアニオタコスプレ主婦のあんずとコスプレをして、彼女が書いた台本通りにセックスにふける「ミクマリ」から始まる連作短編の本作ですが、そういったインデックスはどうでもいいです。

読んだ方の中にも「ミクマリ」自体をあまり評価されていない人がいますが、あんずに別れを告げた斉藤くんが自分の中に芽生えた気持ちを実感するシーンが「うわぁ、めちゃめちゃ男心わかってるなぁ」っと自分は感心してしまいましたし、「ミクマリ」以降も登場人物の突拍子の無い行動や、読んでいるこっちが気が滅入るような話にもちゃんと葛藤や、心の変遷が記されていて、読ませます。

「ミクマリ」以降、あんずを中心にした話、斉藤くんに想いを寄せる同級生の話、斉藤くんの友人の話、斉藤くん母の話と物語は展開していきます。そして、皆が陰と陽を背負って生きています。

そして、序盤の性や愛の形から、悪意、貧困、家族と様々な話に繋がって行きます。
どの登場人物も唾棄するような汚さと、抱きしめたいような愛しさを持っています。

それは、そのまま僕らの世界です。

個人的に田岡の言葉がかなり印象に残っています。
「余計なオプションつけるよな神様って。」
「おれは本当にとんでもないやつだから、それ以外のところでは、とんでもなくいいやつにならないとだめなんだ。」
彼自身の葛藤を端的に表したこの言葉はかなり色々考えさせられます。


生まれながらにして、人間はなんでか知らないけど、ジグソーパズルのピースのようなものを持っていて、
これにぴったりはまるピースが見つかったら幸せなんだと思い込んでいて。
一生懸命、欠けたピースを探すんだけど、なかなかピースが見つからなくて。
生まれながら結構ピースが埋まってる奴もいるし。
欠けたピースがもうこの世の中に存在しない奴もいる。
合わないピースを無理やり合わせている奴もいる。
僕の持っているピースに君のピースがぴったり納まるのに、君はそれに気付いていなかったり。
まったくあってないピースを合っていると言われたり。


読んでいる間、そんな事をずっと考えていました。

好きな本です。
言いたい事いっぱいあるんですけど、言葉にするのが難しい本だなぁ。

山本周五郎賞の受賞、おめでとうございます。
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by shimo_g | 2011-05-19 01:13 | 漫画・小説
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