邪魅の雫 / 京極夏彦
邪魅の雫
京極 夏彦 / 講談社
ISBN : 4061824384

ようやく読み終えた。購入後1年ちょい。やはり長いなw。
とりあえず一気に200ページほど読んでから10ヶ月ほど放置。XBOX360がぶっ壊れてまた200ページほど読み進める。んで、最近の長い通勤時間を潰すためにまた読み始めまして。
昨日の夜一気に読了と。

うーむ、確かに初期の作品と比べてしまうとね。全体的に湿った感じがすくないんだよなぁ。
まぁ、著者も言っているようにこれは推理小説ではありません。犯人当てもありません。妖怪小説というといらぬ誤解を得そうなのですが。

大磯・平塚を中心に起きる連続毒殺事件を青木が、榎木津探偵に訪れるお見合い話を益田が転がしていく今回の話は事件的には大した内容じゃない。ただ、数多くの登場人物の視点がフラッシュバックのように展開していって、根底に流れる物語を覆い隠している。序盤は正直ダラダラ。後半事件が急速に転がり始めると一気に面白くなったね。

今回のテーマは「セカイ系作品へのアンチ」だと思います。
いわゆる限られた人間、つまり僕と君が世界の大部分を構成していて、その関係性が世界の運命を握っているという、この世界を構成しているのは自分自身といういわゆるセカイ系作品が漫画や小説、映画なんかにも90年代後半から溢れているのですが、今作の被疑者、被害者などの登場人物は根底に「世界の中心は自分。自分が認識している世界が全て」という人達ばかりです。自己肥大ですね。その思いが複雑に交差しています。

しかし、物語の後半、中禅寺はこう言います。
「貴方は世界の構成要素なのだ」と。

その一言がこの物語の全てのような気がします。
つまりその一言を言いたいがための物語のような気がするのです。

京極夏彦の京極堂シリーズは根底に"物事をどう認識するのか"というのが流れています。
この要素は一貫していると思います。本作も然りです。

作品数が増えるごとにミステリー要素は少なくなり、前作では遂に「最初の数ページで全てがわかってしまう」という大胆な手法を取り入れましたが、今作は若干初期に近づいたかと思いますね。

それにしてもラストの中禅寺は「元々予定してなかったのに、急遽登場させた」らしいので、やはり消化不良な感じがしますね。

1冊1冊がかなり長いのでそこそこ読書をする方にしかお薦めできませんが、初期作品は何度でも読めるほど面白いです。ミステリー系では有名なシリーズなのに自分の周りでは読んだことある人がほとんどいないので、興味がある方は是非。
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by shimo_G | 2007-11-10 13:49 | 漫画・小説
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